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マインドフルネスと瞑想の違いを徹底比較!効果的なやり方と脳の仕組み

こんにちは!スルースのVictory Academy、運営者の「スルース」です。

最近、テレビや雑誌、ビジネス書などでも頻繁に目にするようになった「マインドフルネス」という言葉ですが、正直なところ「普通の瞑想」と何がどう違うのか、ピンときていない方も多いのではないでしょうか

最初はどちらも「あぐらをかいて目を閉じ、無になること」だと思い、もっと言えば「ちょっと怪しい宗教的な修行なのかな?」なんて警戒すらしてしまうかもしれません。

しかし、仕事のパフォーマンスを上げたい、日々のストレスを減らしたいと思って深く調べていくうちに、この二つには目的や脳への働きかけ、そして期待できる効果に明確かつ科学的な違いがあることが分かってきたのです

特に、ヨガを習慣にしている方や、科学的な根拠を重視する方にとって、この「微妙だけど決定的な違い」を理解することは、自分に最適なリラックス法やメンタルトレーニングを選ぶための重要な羅針盤になります。

この記事では、脳科学的なメカニズムや、それぞれのメリット・デメリットについて、専門用語を噛み砕きながら分かりやすくシェアしていきます!

記事のポイント
  • マインドフルネスと瞑想の定義や脳科学的なメカニズムの違い
  • 集中瞑想と観察瞑想のアプローチや意識の使い方の違い
  • 初心者でも今日から実践できる具体的な手順とコツ
  • 医学的に証明された効果と知っておくべき副作用への対策

※本記事は、筆者の経験や調査に基づく一般的な情報・考え方の紹介です。具体的なトラブルや体調不良などについては、所属先の相談窓口や専門家への相談も検討してください。

マインドフルネスと瞑想の違いを定義と脳科学から解説

マインドフルネスと瞑想の違いを定義と脳科学から解説
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まずは、この二つの言葉が本来どういう関係にあるのか、そして私たちが瞑想をしている時、脳の中では一体何が起きているのかを整理してみましょう。ここを理解すると、自分が今やろうとしていることが「リラックス目的なのか」、それとも「脳のトレーニング目的なのか」がクリアになりますよ!

瞑想の種類とマインドフルネスの位置づけ

瞑想の種類とマインドフルネスの位置づけ

結論からズバリ言ってしまうと、「瞑想(Meditation)」は包括的なグループの名前で、「マインドフルネス(Mindfulness)」はその中に含まれる一つの特定のメソッドだと理解すると、両者の関係性がスッキリと見えてきます

これを分かりやすく「スポーツ」に例えてみましょう。

「瞑想」は「スポーツ(運動)」という言葉に相当します。「スポーツ」と言っても、その中にはテニスもあれば水泳もあり、筋力トレーニングもありますよね。それぞれルールも違えば、鍛えられる筋肉や目的も異なります。「テニスとスポーツの違いは何ですか?」と聞かれたら、「テニスはスポーツの一種ですよ」と答えるのが正解ですよね。

それと全く同じで、「瞑想」という大きな傘の下に、以下のような様々な流派や具体的な実践法が存在しており、マインドフルネスはその中の一つなのです。

瞑想というカテゴリーの全体像とマインドフルネスの位置

  • マインドフルネス瞑想:「今、この瞬間」の体験に、評価や判断を加えずに気づき続ける実践。医療や心理療法の現場でも広く採用されています。
  • 超越瞑想(TM):個別に与えられた「マントラ(真言)」を心の中で唱え、思考を超えた深い静寂と休息を得ることを目指す実践。
  • 禅(Zen):曹洞宗の「只管打坐(しかんたざ:ただひたすらに座る)」や臨済宗の公案など、仏教的な悟りや真理の探究を目指す厳格な実践。
  • 慈悲の瞑想(Metta Meditation):特定のフレーズを唱えながら、自分自身や他者に対して慈しみや優しさの感情を能動的に育む実践。
  • 視覚化瞑想(Visualization):チベット密教などで見られる、複雑なマンダラや仏の姿を脳内で詳細に構築する、高度な集中力を要する実践。

つまり、マインドフルネスは「瞑想」という大きなチームの中の、一人の選手のようなものです

しかし、現代社会においては、GoogleやIntelといった巨大企業がリーダーシップ研修に取り入れたり、うつ病の再発予防などで有望なエビデンスが蓄積されてきたりと、マインドフルネスがあまりにも単独で有名になりすぎたため、「瞑想」と「マインドフルネス」がまるで別の対等なもの、あるいは全くの別物として語られることが増えてしまいました。

「マインドフルネス」という言葉が持つ3つの意味

さらにこの話をややこしくしているのが、「マインドフルネス」という言葉自体が持つ多義性です。実は専門的な文脈では、以下の3つの異なる側面を区別して使っています。

  • ① 状態としてのマインドフルネス(State):瞑想の実践中に訪れる、「今ここ」に完全に集中し、クリアに気づいている一時的な意識の状態。
  • ② 特性としてのマインドフルネス(Trait):継続的なトレーニングの結果として身についた、日常生活でも動じず、受容的でいられる個人の性格的な傾向や能力。
  • ③ 実践としてのマインドフルネス(Practice):上記の状態や特性を養うために行う、具体的なトレーニング方法(呼吸瞑想やボディスキャンなど)。
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「マインドフルネスをやる」と言うときは、主に③の「実践法」を指していますが、目指しているのは②の「特性」を身につけることです。単なるリラクゼーション法ではなく、「瞑想という広大な体系の中に位置する、脳の特定の機能を鍛えるためのトレーニング種目」としてマインドフルネスを捉えると、その役割がより明確になります!

脳の活動領域に見る科学的な違い

脳の活動領域に見る科学的な違い

個人的にこの分野を調べていて一番「なるほど!」と膝を打ったのが、脳科学の視点からの解説です。

感覚的な話ではなく、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)や脳波測定といった最新のテクノロジーによって、異なる種類の瞑想をしている時、脳のどのエリアが活性化しているかが可視化されるようになってきました。

その結果、マインドフルネスとその他の瞑想(特にリラクゼーションやトランスを目的とするもの)では、脳活動のパターンに違いが見られることが、多くの研究で報告されています

この違いを知る上での最重要キーワードが、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」です。

脳のエネルギーを大量に使う「DMN」とは?

DMNとは、私たちが特定の作業に集中していない時、つまりぼんやりしている時や、睡眠中のアイドリング状態の時に活発になる脳の神経回路ネットワークのことです。ワシントン大学のマーカス・レイクル博士らによって発見されました。

「休んでいる時に働くなら、脳を休ませてくれているのでは?」と思いますよね。私も最初はそう思っていました。しかし、実はとんでもない「大飯食らい」なんです。

DMNの驚くべきエネルギー消費量

脳が消費する全エネルギーのうち、意識的な活動(計算したり、会話したり)に使われるのはわずか数%程度と言われています。なんと残りの60〜80%前後は、DMNを含む「安静時の自発的な脳活動」が消費しているとされているのです

では、この大量のエネルギーを使ってDMNは何をしているのでしょうか?

主に「自己言及的処理」、つまり「自分」に関する物語を紡いでいます。「昨日の会議、あんなこと言わなきゃよかった(過去の後悔)」、「明日のデート、雨が降ったらどうしよう(未来の不安)」といった、とりとめもない思考です。

これを心理学用語で「マインドワンダリング(心の迷走)」と呼びます。

ハーバード大学の研究によると、私たちは起きている時間の約47%もこの「心の迷走」をしており、迷走している時間ほど幸福感が低いという結果が出ています。

うつ病や不安障害の方では、このDMNの活動パターンとネガティブな反芻思考(ルミネーション)の増加が関連していることが多いと報告されています。

マインドフルネスはDMNを「鎮静化」するスイッチ

ここでマインドフルネスの登場です。研究により、マインドフルネス瞑想の実践中や、長年実践している人の安静時には、DMNの活動やネットワークのつながり方に変化が見られ、過剰な活動が抑えられる傾向があることが報告されています。

マインドフルネスは、意識を意図的に「今、ここ(呼吸や感覚)」に向けることで、DMNという「過去と未来を行き来する回路」だけに偏りがちな状態から、集中や実行機能を担うネットワーク(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク:CEN など)への切り替えを助けるトレーニングになると考えられています。

つまり、マインドフルネスは単にリラックスしているのではなく、脳のアイドリング状態から意図的に抜け出し、脳疲労の一因になりうる思考のループを和らげていくという、非常に能動的な脳のメンテナンスを行っているのです。

他の瞑想(TMやリラクゼーション)との決定的な違い

一方で、超越瞑想(TM)や一般的なリラクゼーション法はどうでしょうか。これらも素晴らしい効果がありますが、脳へのアプローチは異なります。

TMなどの瞑想中は、アルファ波(場合によってはシータ波など)のコヒーレンス(同期性)が高まるという報告が多くあります。

これはしばしば「安らぎの中にある覚醒(Restful Alertness)」と表現され、脳と身体を深い休息状態に導き、リフレッシュを促すタイプの実践と説明されます。

比較要素 マインドフルネス瞑想 一般的なリラクゼーション・TM
DMNへの作用 活動を抑制・鎮静化する (思考のループを止める) 脳全体を休息モードへ導く (生理的な覚醒レベルを下げる)
脳のネットワーク 切り替えスイッチを鍛える (筋トレに近い) 全体的な調和を整える (温泉やマッサージに近い)
目指す状態 クリアな覚醒と気づき 深い没入と休息

もしあなたが、「ネガティブな思考がぐるぐる回って止まらない」「脳がオーバーヒートしている感じがする」のであれば、DMNの過剰な活動パターンを和らげることを目指すマインドフルネスが、有力な選択肢の一つになります

一方で、「とにかく疲れていてエネルギーをチャージしたい」「心地よい没入感が欲しい」のであれば、TMやリラクゼーション法が合っているかもしれません。

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このように、「脳のどの回路を使いたいか(あるいは休ませたいか)」という視点で瞑想を選べるようになると、メンタルケアの質がグッと上がりますよ!

集中瞑想と観察瞑想のアプローチ

集中瞑想と観察瞑想のアプローチ

瞑想は、その「注意の向け方」によって、大きく二つのスタイルに分類されます。

ここを知っておくと、自分が求めているのが「没入感」なのか、それとも「気づき」なのかを判断しやすくなります。

集中瞑想(Focused Attention Meditation: FA)

これは、注意を「一点」に集中させ続けるスタイルです

対象となるのは、自分の呼吸であったり、ロウソクの炎であったり、マントラ(特定の言葉)であったりします。サマタ瞑想や、多くのヨガの瞑想がこれに含まれます。

この瞑想の目的は、対象以外の情報をシャットアウトし、深い集中状態やトランス状態(サマディ)に入ることです。スポーツでいう「ゾーン」に入った状態に近いかもしれません。

雑念が湧いたら、それは「集中を乱す邪魔者」として扱い、強い意志の力ですぐに対象へと意識を引き戻します。

観察瞑想(Open Monitoring Meditation: OM)

マインドフルネスはこちらの「観察瞑想」の要素を強く持っています(※最初は集中瞑想から入りますが、最終的にはこちらを目指します)。

注意の対象を一点に固定せず、その瞬間に意識のフィールドに現れるすべての現象を「ただ観察」し続けます。

例えば、「救急車のサイレンが聞こえる」「足が痺れてきた」「今日の夕飯何にしようと考えている」といった、外部の音、身体の感覚、内面の思考などを、ドアを開け放った部屋のように、来るものは来させ、去るものは去らせるのです。

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一点に没入して周りが見えなくなるのではなく、むしろ「今、ここで起きていること全て」に対して、クリアに気づいている状態を保ちます!

呼吸への意識の向け方と判断の有無

呼吸への意識の向け方と判断の有無

実際に両方を体験してみると痛感するのですが、マインドフルネスと他の一般的な集中系瞑想(特にトランスや没入を目指すタイプ)との間には、体験に対するスタンスに決定的な違いがあります。

それが「判断(ジャッジメント)」をするか、しないかです。

この「判断の有無」こそが、脳の認知パターンを変えるための鍵であり、マインドフルネスが「心のトレーニング」と呼ばれる所以でもあります。ここでは、その微妙かつ重要な違いを深掘りしてみましょう。

雑念を「敵」とみなすか、「自然現象」とみなすか

一般的な集中瞑想では、理想的な「無」の状態や、対象との「一体化」を目指します。そのため、瞑想中に湧いてくる雑念や感情は、いわば「集中を妨げるノイズ」や「修正すべきエラー」として扱われがちです。

「あ、また今日の晩ご飯のことを考えてしまった。ダメだダメだ、もっと集中しなきゃ」

「雑念を消し去らねばならない」

このように、雑念が湧いた自分を「失敗」と判定し、意志の力で思考を押し込めて、無理やり対象(マントラやイメージ)に戻そうとする力学が働きます。

これはある意味、自分自身との戦いになりやすく、完璧主義な人ほど「うまくできない」と苦しむ原因にもなります

しかし、マインドフルネスのアプローチは全く異なります。湧いてきた雑念やネガティブな感情に対して、「良い」「悪い」という価値判断を一切しません(ノンジャッジメント)。

マインドフルネスにおける雑念の扱い方

  • 雑念は「邪魔者」ではなく、脳の生理現象(自然現象)として扱う。
  • 「雑念が湧いた=失敗」ではなく、「雑念が湧いたことに気づいた=成功」と捉える。
  • 思考の内容(コンテンツ)に入り込まず、思考の存在(プロセス)だけを認める。

「脱同一化」:思考と自分を切り離すテクニック

例えば、瞑想中に「明日のプレゼン、大失敗したらどうしよう…」という強い不安が湧いてきたとしましょう。

通常の反応(または集中しようと必死な時)だと、その不安に飲み込まれて「どうしよう、準備不足かも、嫌だなあ」と思考の渦に巻き込まれるか、逆に「そんなネガティブなことを考えちゃダメだ!リラックス、リラックス!」と不安を敵視して戦おうとします。

しかし、不安は戦えば戦うほど、皮肉なことに強くなってしまいます(シロクマ効果といいます)。

ここでマインドフルネスでは、「脱同一化(De-identification)」というテクニックを使います。

「あ、今、私の心の中に『失敗したらどうしよう』という不安な思考が湧いているな」

このように、まるで他人事のように、あるいは空を流れる雲を眺めるように、事実だけを心の中で実況中継します。

ポイントは、「私が不安だ」と一体化するのではなく、「私の中に、不安という現象が起きている」と客観視することです

「思考=私」ではありません。「思考=単なる脳の電気信号」です。

この距離感を持てるようになると、ネガティブな感情にハイジャックされにくくなる人が多いことが、実践者の報告や研究からも示唆されています。

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「思考をコントロールしようとしない」というこの受容的な態度は、扁桃体の過剰な反応を落ち着かせ、ストレスとの付き合い方を変えていくうえでとても重要なポイントだと言えるでしょう!

呼吸を「操作する」か、「ただ感じる」か

このスタンスの違いは、「呼吸」への意識の向け方にも顕著に現れます。

ヨガの呼吸法(プラーナヤーマ)や一部の健康法としての瞑想では、呼吸を積極的にコントロールします。「腹式呼吸で深く吸って、長く吐いて…」と、呼吸を操作することで自律神経に働きかけ、リラックス状態を作り出そうとします。これはこれで素晴らしい効果があります。

しかし、マインドフルネス瞑想では、呼吸を一切コントロールしません。

「今の自分の呼吸」が浅ければ浅いまま、速ければ速いまま、ただその事実を観察します。「もっと深く吸わなきゃ」と介入したくなる気持ちが湧いたら、それも一つの「判断(ジャッジメント)」だと気づき、手放します。

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「今のありのままの状態」を変えようとせず、良い悪いもつけず、ただ好奇心を持って寄り添い続ける。この「受容」の練習こそが、日常生活で思い通りにならないトラブルやストレスに直面した時にも、「まずは落ち着いて事実を受け入れる」という強靭なメンタリティ(レジリエンス)を生み出すのです!

宗教色を排したマインドフルネスの特徴

宗教色を排したマインドフルネスの特徴

「瞑想に興味はあるけれど、宗教的な勧誘をされたり、怪しい儀式に参加させられたりするのは絶対に嫌だ」

正直なところ、これが多くの人の本音ではないでしょうか。

誰もが最初は、「瞑想=お寺での厳しい修行」や「スピリチュアルな啓示」といったイメージが強くもってしまい、科学的なものだとは思うことはできませんよね。

しかし、現代のマインドフルネスがこれほど世界中に普及した最大の理由は、まさにこの「宗教性を徹底的に排除し、医療・科学的なメソッドとして再構築したこと」にあるのです

仏教から「宗教的外箱」を取り除いたMBSRの功績

マインドフルネスのルーツは、間違いなく初期仏教の「ヴィパッサナー瞑想(観察瞑想)」や「サティ(念)」という教えにあります。しかし、それをそのまま西洋社会や医療現場に持ち込むことは不可能でした。

この壁を打ち破ったのが、マサチューセッツ大学医学大学院のジョン・カバット・ジン博士です。1979年、彼は慢性的な痛みやストレスに苦しむ患者のために「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」というプログラムを開発しました。

彼は、仏教瞑想の中から「苦しみを緩和するための普遍的なエッセンス(注意の向け方や心の保ち方)」だけを慎重に抽出し、宗教的な用語や儀式といった「外箱」を完全に取り払いました。

これにより、マインドフルネスは「仏教の修行」から「脳のメンタルトレーニング」へと生まれ変わったのです

どのように「翻訳」されたのか?

  • 目的の変更:「悟り(解脱)を開くこと」から、「ストレス低減・生活の質の向上・治癒」へ。
  • 用語の変更:「サティ(念)」や「ダンマ(法)」といった仏教用語を使わず、「注意(Attention)」「気づき(Awareness)」「受容(Acceptance)」といった心理学用語へ。
  • 対象の拡大:特定の信仰を持つ人のためのものではなく、キリスト教徒でも、イスラム教徒でも、無宗教の人でも、誰でも葛藤なく実践できるユニバーサルな技法へ。

「マック・マインドフルネス」という新たな課題

この「世俗化(宗教色をなくすこと)」は大成功を収め、GoogleやIntelなどの巨大企業が研修に取り入れるきっかけとなりました。しかし一方で、近年ではこの傾向が行き過ぎているという批判も生まれています。

それが「マック・マインドフルネス(McMindfulness)」と呼ばれる問題です。

これは、ファストフードのマクドナルドのように、マインドフルネスが「手軽に消費される商品」として扱われていることを揶揄した言葉です。

本来の仏教的な文脈では、マインドフルネス(正念)は、「正しい行い(正業)」や「他者を傷つけない(不殺生)」といった倫理観(道徳)とセットで実践されるものでした。

しかし、現代のマインドフルネスではこの「倫理」が切り離され、単なる「集中力アップツール」として機能特化してしまっています。

  • 兵士がより冷静に敵を狙撃するために瞑想する。
  • ブラック企業の従業員が、劣悪な労働環境のストレスに耐えて働き続けるために瞑想させられる。

極端な例ですが、これらは「注意力のトレーニング」としては成功していても、本来のマインドフルネスが目指す「幸福」とはかけ離れてしまう危険性があります。

とはいえ、私たち一般人が日々の生活に取り入れる分には、この「宗教的でない」という点は、非常に高いハードルを下げてくれる大きなメリットです。

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重要なのは、単に集中力を高めるだけでなく、「自分や他者への優しさ(コンパッション)」を忘れないことです。これさえ心に留めておけば、マインドフルネスはあなたの生活を豊かにする安全で強力な味方になってくれるはずですよ!

マインドフルネスと瞑想の違いをやり方や効果から比較

マインドフルネスと瞑想の違いをやり方や効果から比較
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理論的な背景が見えてきたところで、ここからはもう少し実践的な内容に入っていきましょう。「で、結局どうやればいいの?」「どんな効果が違うの?」という具体的な疑問にお答えします!

初心者でも分かる具体的なやり方の手順

初心者でも分かる具体的なやり方の手順

「瞑想って、無にならなきゃいけないんでしょ?」と思っている方、安心してください。

マインドフルネスは「無になること」を目指していません。むしろ「いろいろなことに気づくこと」が目的なんです。基本的な流れをご紹介します。

マインドフルネス瞑想の基本ステップ(呼吸瞑想)

  1. 姿勢を整える(調身):椅子に座るか、あぐらをかきます。背筋はスッと伸ばしますが、ガチガチに力を入れる必要はありません。手は太ももの上など、楽な位置に置きます。目は軽く閉じるか、半眼(薄目を開けて1.5メートル先をぼんやり見る)にします。
  2. アンカーを決める(調息):注意を向ける対象を決めます。一番分かりやすいのは「呼吸」です。鼻先を通る空気の冷たさや、お腹が膨らんだり凹んだりする感覚に意識を向けます。これを、船が流されないようにするための「アンカー(錨)」と呼びます。
  3. 気づく(Noticing):ここが最重要ポイントです。呼吸に集中しようとしても、数秒もすれば必ず「今日の夕飯どうしよう」「足が痒いな」といった雑念が湧き、意識が呼吸から逸れます。それに「あ、今、意識が逸れたな」「考え事をしているな」と気づきます。
  4. 手放す&戻る(調心):雑念が湧いた自分を「ダメだ、集中力がない」と責めないでください。雑念に気づいたこと自体が「成功」です。気づいたら、その雑念を「あとでね」と優しく手放し、またアンカーである呼吸の感覚に注意を戻します。
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この「呼吸に集中する」→「逸れる」→「気づく」→「戻す」というサイクルこそが、脳の筋トレ(マインドフルネスの練習)そのものです。「ずっと集中し続けること」ではなく、「逸れたことに気づいて、優しく戻す回数」が多ければ多いほど、練習としては質が高いと言えます。だから、雑念が湧くことは失敗ではないんです!

ヨガとマインドフルネスの深い関係

ヨガとマインドフルネスの深い関係

ヨガをやっている方は、「ヨガの最後にあるシャバーサナ(屍のポーズ)が瞑想なのかな?」と思うかもしれません。

実は、ヨガのポーズ(アーサナ)をとること自体が、立派な「動く瞑想」になり得ます。

しかし、ここで重要なのが「意識の向け方」です

もしあなたがヨガをしている最中に、「隣の人より体が硬いな」「もっと綺麗にポーズをとらなきゃ」「鏡に映る自分、太ったかな」といったことばかり考えているとしたら、それは残念ながらマインドフルネスではありません。それは単なるストレッチやエクササイズです。

マインドフルネス的なヨガ(マインドフルネス・ヨガ)では、ポーズの美しさや完成度は二の次です。

重要なのは、筋肉が伸びている感覚、呼吸が早くなったり深くなったりする変化、バランスを取ろうとして足の裏が細かく動く感覚に、「今の瞬間の事実」として意識を向け続けることです

「痛い!もう無理!」と反応するのではなく、「あ、ここに強い突っ張り感があるな」「呼吸が止まりそうになっているな」と観察する。この姿勢で行うヨガは、座って行う瞑想が苦手な人にとって、身体感覚という強力なアンカーを使えるため、実は非常に効果的な入り口になります。

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身体への気づき(内受容感覚)を高めることは、感情のコントロール能力を高めることにも直結しているのです!

期待できる効果と医学的なエビデンス

期待できる効果と医学的なエビデンス

マインドフルネスがこれだけ世界中で爆発的に普及した理由は、スピリチュアルな体験談ではなく、医学的なエビデンス(科学的根拠)が豊富に積み上げられてきたからです。

ストレス低減と感情調整

マインドフルネスの実践を続けると、脳の「扁桃体(へんとうたい)」という部位の反応が変化することが分かっています。

扁桃体は、恐怖や不安を感じた時に「危険だ!逃げろ!」と警報を鳴らす部位ですが、ストレス過多の人はここが常に過敏になっています。

マインドフルネスの実践を続けることで、扁桃体の過剰な反応性が和らいだり、前頭前野との連携の仕方が変化したりすることが報告されています。

こうした変化を通じて、イライラや不安が生じたときにも、パニックに振り回されにくく、より冷静に対処しやすくなると考えられています。

慢性の痛みの緩和

これは非常に興味深い研究結果があるのですが、マインドフルネスには鎮痛効果がみられるとする研究があるのです。しかし、痛み止め薬のように「感覚を麻痺させる」わけではありません。

脳画像の研究によると、マインドフルネス実践中、痛みの「感覚(ズキズキする物理的刺激)」を感じる脳の部位は活発なままですが、その痛みに対して「嫌だ、辛い、苦しい」と反応する情動的な脳の部位(前帯状皮質など)の活動が低下することが分かっています。

つまり、「痛みはあるけれど、それほど苦痛ではない」という状態を作り出すのです。

これを「痛み(Pain)」と「苦しみ(Suffering)」の分離と呼びます。慢性疼痛に苦しむ患者さんにとって、これは生活の質(QOL)を改善するうえで有望な選択肢の一つになり得ます

うつ病の再発予防

「マインドフルネス認知療法(MBCT)」は、特にうつ病を繰り返している患者さんに対して、再発予防に役立つ可能性があることが複数の臨床試験で示されています。

条件や対象を限定した研究では、維持的な抗うつ薬療法と同程度の再発予防効果が報告された例もあります。

うつ病の再発は、些細な気分の落ち込みをきっかけに、「自分はダメな人間だ」「もう二度と治らない」という自己批判的な思考のループ(反芻思考)が始まることで引き起こされます。

マインドフルネスは、この最初の「思考のループ」に気づき、巻き込まれる前に距離を置くスキル(脱中心化)を養うことで、うつの連鎖を断ち切るのです。

※ただし、すべての人に当てはまるわけではなく、現在治療中の方が薬を自己判断で中断してよいという意味ではありません。治療の変更は必ず主治医と相談したうえで検討してください。

実践に伴う危険性と副作用への対策

実践に伴う危険性と副作用への対策

ここは非常に重要なので、必ず知っておいてほしいことです。「瞑想=副作用がなく、誰にでも安全なリラックス法」というイメージが強いですが、実はやり方を間違えると、精神的な不調を引き起こすリスク(瞑想関連有害事象)もあります

注意:知っておくべき主なリスクと副作用

  • 過覚醒(Hyperarousal):リラックスするどころか、逆に不安が強まったり、動悸が激しくなったり、イライラして眠れなくなったりする状態です。抑圧していた感情が蓋を開けて出てきてしまうことで起こります。
  • 解離(Dissociation):自分が自分じゃないような感覚(離人感)や、現実感が希薄になる状態です。深いリラックス状態と混同されやすいですが、感情が麻痺している危険なサインの場合があります。
  • フラッシュバック(再トラウマ化):過去に虐待や事故、災害などの強いトラウマ体験がある方の場合、静かな状態で自分の内面に意識を向けることが、当時の恐怖の記憶を呼び覚ますトリガーになることがあります。

ブラウン大学のウィロビー・ブリットン博士らの研究プロジェクト「Cheetah House」では、瞑想によるこうした副作用について詳細な調査を行っています。

もしあなたが、過去に強いトラウマを持っていたり、現在重度のうつ状態にある場合は、独学で長時間行うのは避けた方が無難です。

「トラウマ・センシティブ・マインドフルネス」というアプローチでは、以下のような安全策を推奨しています。

  • 目を閉じずに、部屋の中の植物や色など、外部の視覚情報に意識を向ける。
  • 呼吸やお腹ではなく、「足の裏が床についている感覚」や「お尻の重み」など、身体の末端や安定した感覚(グラウンディング)に意識を向ける。
  • 不快感が高まったら、無理に続けずに即座に中断し、お茶を飲むなどして気分転換をする。

「修行だから耐えなければ」と我慢するのは逆効果です。心身の安全が最優先であることを忘れないでください。

まとめ|理解しておきたいマインドフルネスと瞑想の違い

最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!

最後に、これまでの内容を総括して、マインドフルネスと一般的な瞑想(ここでは比較対象として分かりやすい超越瞑想やリラクゼーション法などを想定)の違いを比較表にまとめました。今のあなたのニーズに合っているのはどちらか、選ぶ際の参考にしてください。

比較項目 マインドフルネス瞑想 一般的な瞑想(超越瞑想やリラクゼーション)
主な目的 「今ここ」への気づき、受容、現実への適応力の向上 深い休息、トランス状態、超越体験、疲労回復
注意の向け方 思考や感覚、感情を客観的に「観察」し続ける マントラや対象に「没入」するか、意識を自動的に超える
判断(ジャッジ) 良い悪いを判断せず、あるがままの事実を認める 雑念は集中を乱すノイズとして処理・遮断することが多い
日常への応用 歩く、食べる、会話するなど、生活動作そのものを瞑想にできる 静かな場所で座って行う「形式的な練習」が基本となる
脳への作用 DMNの鎮静化、前頭前野の活性化、認知パターンの変容 アルファ波のコヒーレンス、生理的な覚醒レベルの低下
宗教性 低い(医療・科学・心理学的に体系化されている) 技法による(マントラの伝授など宗教的背景が強いものもある)

どちらが優れている、劣っているということではありません。

もしあなたが、日々の仕事で脳が疲れ切っていて、とにかく泥のように深く休みたい、リセットしたいと願っているなら「超越瞑想(TM)」や「ヨガニドラ(眠りのヨガ)」のようなリラクゼーション法が適しているかもしれません。

一方で、ストレスに対する打たれ強さを身につけたい、ネガティブな思考の癖を直したい、仕事中の集中力やEQ(感情的知性)を高めたいと考えているなら、「マインドフルネス」が強力なツールになります。

大切なのは、今の自分の目的や心の状態に合わせて、適切なツールを選ぶことです。

まずは難しく考えず、1日5分、ただ呼吸に意識を向ける時間を作ってみることから始めてみてはいかがでしょうか?

参考リンク:
MBSR(マインドフルネスストレス低減法)|一般社団法人マインドフルネス総合研究所
https://www.mindfulness-japan.org/about-mindfulness/about-mbsr/

「マインドフルネスに基づくストレス低減プログラム」の健康心理学的展望|健康心理学研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahp/21/2/21_57/_pdf

Mindfulness-based cognitive therapy for depression(Ma et al., 2004, J Consult Clin Psychol)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14756612/

The effect of mindfulness-based cognitive therapy for prevention of relapse in recurrent major depressive disorder(Piet & Hougaard, 2011)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0272735811000973

Meditation leads to reduced default mode network activity associated with mind-wandering(Garrison et al., 2015, Frontiers in Human Neuroscience)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4529365/

Mindfulness Meditation for Chronic Pain: Systematic Review and Meta-analysis(Hilton et al., 2017, Annals of Behavioral Medicine)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27658913/

Adverse Effects of Meditation(Cheetah House)
https://www.cheetahhouse.org/affective-domain

休養・こころの健康|e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart.html

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